普天間権現と忘れ刀
どんな伝承か
薩摩の侍が沖縄から国元へ船で帰ろうとしたが、向かい風で二、三日から四、五日待っても風がまわらなかった。よい神様だと聞いて普天間権現に参り、追い風に変えてくださいと祈願した。洞窟に入る時、刀を差したまま神前に出てはいけないと思って手洗い水の所に刀を置き、中で拝んだ。出てくると風向きが変わっていたので、刀を差すのを忘れたまま馬を走らせ、那覇から船で帰ってしまった。忘れられた刀は人が見ると蛇になって逃げたりし、人が出入りしても気づかれずにあって、後日その侍が礼参りに来た時までちゃんとあったという。それからは、普天間権現は船旅に縁起のよい神として皆が拝むようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第15巻』所収の「文化叙事伝説」「自然説明伝説」全185話(奄美・沖縄=南西諸島)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。