平家谷
どんな伝承か
まだ向田の里も人まばらのころのある日、小迫海岸に一隻の小舟が打ち上げられ、ひとりの女人が乗っていた。助けた漁夫が見ると、顔はふた目と見られぬ醜女であるのに、衣服は華やかで宮人を思わせる姿であった。女は喘ぎながら、自分は太政大臣平清盛の七人娘の一人だが婦人病でこの姿となり、姉からも妹からも嫌われて流されてきた、今この身は召されて昇天するが、魂魄はこの世に留まって腰から下の病を救う神になりたい、と告げてこときれた。この小舟を壊した石が男根に似ていたので、亀頭にあたる部分を上にして五寸角ほどの穴を掘り立て、姫の魂を安座させる場として祀ったのが始まりである。それから婦人病の神、粟嶋神社となって今日に至っているという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第13巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第13巻』所収の「文化叙事伝説」全35話(福岡・大分・佐賀・長崎=北九州)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。