松の根元に葬られた雌雄の狸
どんな伝承か
墨田区に伝わる話である。里の人々がひどく恐れる妖しい狸がいた。悪魔を降そうと御堂を建てるために樹齢数百年の松を伐り払ったところ、夜ごと怪しいものが現れ、砂や石を落とす音を立てて工事を妨げた。ある夜ついに異形の姿を見せ、住僧に立ち退かねば害すると迫った。鑽海和尚が毘沙門天の名を唱えると御童子が現れて妖怪を打ち据え、悪魔は退散した。夜が明けると雌雄二匹の大きな狸が死んでいた。和尚はこれを憐れみ、狸が棲みなれた松の根元に埋めて狸塚とし、ねんごろに弔ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第5巻』所収の「文化叙事伝説」全104話(千葉・山梨・神奈川・埼玉・東京=関東甲信)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。