猿ヶ渕の猿智
どんな伝承か
鍋倉谷の水害に鍵掛付近の農民は困り果てていた。ある百姓が近くの年経た大猿に「堤防を築いてくれれば娘をやってもよい」と言うと、大猿は多くの猿族を指図して石を運び、幾月かの後に堤防を築き上げた。取り入れの済んだ満月の夜、猿が約束の履行を迫り、三人の娘のうち末の娘が嫁ぐことになった。娘は簪と大きな水瓶と古綿を所望し、古綿を詰めた瓶を背負った猿とともに出立した。鍋倉谷の奥の渕にさしかかると、娘は簪を渕に投げ入れ、早く取ってくれとせきたてた。猿は瓶を背負ったまま飛び込み、水が瓶に満ちて引きずり込まれた。以来この渕を猿が渕という。
原典より
毎年のようにおこる鍋倉谷の水害に鍵掛付近の農民は、ほとほと困りぬいていた。—— 日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第12巻』所収の「文化叙事伝説」全139話(香川・徳島・愛媛・高知=四国)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。