摩利支天さんの竜
どんな伝承か
むかし、妻波の岩崎神社が造営されることになり、各地から集まった宮大工のうち一人が棟梁に選ばれて、本殿正面の上り竜・下り竜の図引きを引き受けた。数日たっても構想がまとまらず、疲れ果てて素材の上に伏すと、白衣の老人が夢枕に現れて図引きのこつを教え、かき消すように消えた。摩利支天のお告げと信じた棟梁は旬日を経ずに仕上げ、その秋には見事な竜の彫刻と社殿ができて遷宮式も行われた。ところがまもなく、真夜中に池のまん中で物凄い形相の竜が食みをしているのを見た者があるという噂が立ち、村は大騒ぎになった。庄屋が村人を集めて評定し、竜の目玉に釘を打ち込むと、竜は池に出なくなった。その池はいつしか干拓されて美田となったという。
原典より
むかし、妻波の岩崎神社が造営されることになり、各地から宮大工が集まって来た。—— 日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第11巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全56話(鳥取・島根=山陰)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。