枯れ枝に花が咲いた本山寺の杖桜
どんな伝承か
『久米郡誌』は、岩間山本山寺の本堂のかたわらにある杖桜、すなわち塩竈桜について記す。伝えによれば、法然の父の漆間時国とその妻の秦氏は子がないのを憂え、この寺に百日の願をかけた。満願の日に秦氏が携えていた杖を地に挿して祈ったところ、枯れた枝に花が咲いた。その夜、秦氏は剃刀を呑む夢を見て時国に語り、時国は必ず身ごもった、僧になる子であろうと喜んだという。のちに生まれたのが源空である。挿した杖はやがて花も葉も茂らせて一本の桜となり、参る者が絶えず、杖桜と呼ばれた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。