竜王淵
どんな伝承か
村の西に竜神山があり、大蛇が住むと伝えられていた。麓の若い木樵りが夜ごと縁側で笛を吹いていると、その音に誘われて美しい娘が訪ねて来て住みつき、夫婦となって女の子が生まれた。やがて妻は、自分は竜神山の竜神で、山に千年、川に千年住む定めゆえ川へ帰らねばならぬと明かし、書き置きを残して去った。子が母を慕って泣くので竜王淵へ連れて行くと、淵の底から母が顔を出し美しい玉を与えた。玉は地頭に取り上げられ、二度目の玉も奪われた。三度目に訪ねると母は盲になっており、玉は自分の目だったと告げ、三日間高い山に隠れよと言い残した。やがて大水が地頭の家を押し流して地頭は死に、淵の底には目のない竜の死骸が見えた。竜王淵には今でも二つの目のあいた石があるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第10巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全85話(岡山・広島・山口=中国地方)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。