跡隠しの雪
どんな伝承か
お大師様がある宿にお泊まりになったが、その家には差し上げるものが何もなかった。お大師様が「来る道に、そばがはでに掛かっていた」と言われたので、主人はそれを盗みに行こうとしたが、主人の足はすりこぎであった。足形がついて分かってしまうと案じ、そのことを話すと、お大師様は「それなら心配はいらない。わしがようするから、そのそばを取ってきて、そばきりにして食べさせてくれ」と言われた。主人は言われたとおりにそばを取ってきて差し上げた。すると明くる朝、霜月の十五日、薄雪がちゃらっと降って、足形は隠れて見えなくなっていた。これをすりこぎ隠しの雪というのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第10巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全85話(岡山・広島・山口=中国地方)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。