人喰い鬼
どんな伝承か
中万の河原市では毎年一人ずつ人が行方知れずになった。ある年、河原で火を焚いて酒を飲む二人の男のうち一人が赤子の手を噛っているのを見つけ、人々が捕えようとすると二人は近くの宮の長屋へ逃げ込み、一人だけが捕まった。残る人食いの男は皆が恐れて捕えられず、火をつけて焼き殺すことになったが、捕えられた男は自分は度会郡押淵の六左衛門で、長屋にいるのは押淵の岩窟に住む木虫という人鬼だと明かして命乞いをした。人々も鬼と聞いて祟りを恐れ助けてやると、以後怪しいことは起こらなくなった。今も射和の聖徳寺にこの鬼の墓が残るという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第9巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全100話(奈良・大阪・和歌山・三重=近畿南部/紀伊)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。