久利須村に残る俊寛塚と比丘尼屋敷
どんな伝承か
越中の地誌は、久利須村の領内に長さ八間、幅三間ほどの塚があり、古くから俊寛塚と呼び伝えてきたと記す。享保十年の書上には宝達石を積んで築いた塚だともある。平清盛の頃、俊寛・成経・康頼の三人が鬼界ヶ島へ流されたが、成経は平経盛と親しかったため、島へ遣わすと偽ってこの地に隠れ住んだ。俊寛だけがここに残って世を去ったので、その辺りに塚を築いたのだという。塚のそばには古くからの大きな藤棚があり、十余町奥には二丈ほど落ちる滝があって、成経と康頼はこの辺りを熊野に見立て、滝を那智滝と名づけたと伝える。俊寛塚の脇には比丘尼屋敷と呼ぶ家跡もあったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。