榛名湖に入水して蛇となった木部姫
どんな伝承か
木部の名主には子がなく、榛名の神に願をかけてようやく娘を授かった。年頃になると娘の両の脇腹に蛇の鱗が現れたという。ある日、娘は榛名へ連れて行けと言い出し、七人の腰元を供に湖のほとりへ向かった。駕籠から降りた娘は髪と帯を解いて湖に入り、しばらくすると蛇の姿で湖の中ほどに浮かび、自分はここにとどまるから帰れと告げた。腰元たちは帰るに帰れず湖に入ってカニになり、湖畔には七人の石塔が残ると伝わる。この縁で木部の者が榛名へ行くと雨が早く降るとされ、周りの村は木部の人に雨乞いを頼み、木部ではカニを食べないという。
原典より
髪と帯をといて、娘は榛名の沼へはいってしまった。—— 高崎市東部地区の民俗――伝説・昔話(群馬県民俗調査報告書 第20集・群馬県民俗調査報告書) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
高崎市東部地区の民俗――伝説・昔話(群馬県民俗調査報告書 第20集・群馬県民俗調査報告書)
『高崎市東部地区の民俗――伝説・昔話』は、『群馬県民俗調査報告書』第二十集『高崎市東部地区の民俗』のうち、口頭伝承の章である。榛名湖に入って蛇となった木部姫、弘法大師の七つ井戸、慈眼寺近くの餓鬼坂、オサキ使いの家などの伝説と、うばすて山や和尚と小僧、火の玉や死の予兆の体験などを、話者の地区名を添えて収める。伝説・昔話・命名・諺の項に分け、村の姓やあだな、農事や天気にかかわる諺も採録している。