米野・トチが尻ノコを取る伝承
どんな伝承か
西春町内には五条川と新川が流れ、用水路が縦横に走っているが、水辺に水神を祀る例はない。ただ米野には、川に棲むトチ(すっぽん)が祇園前に川へ入った人間の尻ノコを取り、竜宮の乙姫に献上するという伝承がある。ここにわずかに水霊の面影をしのぶことができる。トチは五条川にいたといい、人を川に引き込んだり、尻のせんを引き抜くともいわれた。
原典より
川に棲むトチ(すっぽん)が祇園前に川へ入った人間の尻ノコを取って、竜宮の乙姫に献上するとの伝承(米野)から、わずかに水霊のおもかげをしのぶことができるに過ぎない。—— 西春町史 民俗編2――霊と神・祈禱・怪異(西春町(編)・西春町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
西春町史 民俗編2――霊と神・祈禱・怪異(西春町(編)・西春町史)
『西春町史 民俗編2――霊と神・祈禱・怪異』は、西春町の町史の民俗編である。九之坪・岡・沖村・石橋など町内の各ムラに残る御嶽山や塚、堂、小祠、石塔、家の神、祈禱師、祈願と参詣、霊威と祟り、狐や狸の怪異と憑きものを、聞き書きと『徇行記』や村絵図などの記録から記す。霊と神、祈願と参詣、霊威と怪異の三節に続けて、第十二章の伝説の節をムラごとの十八項に分けて並べ、最後の項の五条川の大蛇の目撃談で結ぶ。