砂川稲荷の狐に取り憑かれ痩せる
どんな伝承か
鳩ヶ谷の砂川に祀られた稲荷の狐は、ときどきいたずらをして人を困らせていた。あるとき十七歳の若者が、秋刀魚をたくさん買って急いで帰る途中、その稲荷の前で秋刀魚をごっそり取られた。それからというもの、何を食べても身にならず、どんどん痩せ細っていった。案じた親が安行原の先達に見てもらうと、狐が取り憑いて食べた物を吸い取っているのだという。先達の指図で、十二月末の寒いさなか、家のおじいさんと頼まれたTさんが裸足で出かけ、狐封じのお札と魚などの好物を毛長川のたもとの三叉路に置き、振り返らずに帰ってきた。まもなく若者はすっかり治ったという。
原典より
その結果、先達の言うには、「狐がとりついていて、そのために食べた物がみんなその狐に吸い取られてしまうのだ」ということであった。—— 草加市史 民俗編――伝説(草加市(編)・草加市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
草加市史 民俗編――伝説(草加市(編)・草加市史)
『草加市史 民俗編――伝説』は、草加市史民俗編のうち「二 伝説」の章である。地名起源・塚・神々・地蔵・薬師・観音・その他の神仏・旅の僧・動物と妖怪の九節で、柿木や青柳の地名の由来、毛長神社の御神体、疣地蔵や火あぶり地蔵、雨乞いの龍、むじな大尽などを、『新編武蔵風土記稿』や縁起碑、土地の伝えによって記す。第十節「世間話」は狐・むじな・狸・雷獣の聞き書きを集め、話ごとに町名と話者の頭文字・生年を添える。