十艘の船が分かれた二つの泊
どんな伝承か
武士泊は脇野沢と佐井の境にあたる集落である。武士を乗せた十艘の船のうち、一艘が武士泊へ寄り、残る九艘が嵐を避けて九艘泊に停まったことから、それぞれの地名が付いたといわれている。武士泊の浜は春になると鰯網の番屋が軒を連ね、その賑やかな風情が今も昔語りの中に姿をとどめている。一方の九艘泊は脇野沢村の最西端にある集落で、その九艘の船については、頼朝に追討された義経の船だったとも、殿様の乗った十艘のうち家来の九艘だったともいわれている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
脇野沢村史 民俗編――伝説と世間話・キツネ伝承(脇野沢村(編)・脇野沢村史・自治体史(民俗))
『脇野沢村史 民俗編』第七章・口承文芸所収の伝説と世間話。青森県下北半島・脇野沢村の口承を採録する。脇野沢を七地域に分けて語る地名起源伝説、子供を脅す妖怪モコ・ジョジョ、海に現れる亡者船、そして数多く語られるキツネ伝承を中心とする。