頭の口で飯を食う嫁
どんな伝承か
五月の節句に軒下へ蓬と菖蒲を吊るして魔除けとする脇野沢の習わしは、「食わず女房」の昔話によって説かれている。たいそう吝嗇な男がいて、飯を食わない嫁が欲しいと言い続けていた。あるとき本当に飯を食わない嫁が来る。何日か経って不審に思った男が、出かけたふりをして家の中をのぞくと、嫁は釜いっぱいに飯を炊き、髪を解いているところであった。解いた髪の間から頭がのぞき、そこに大きな穴が開いていて、炊き上がった飯を次々に投げ込んで食べている。見られたと気づいた嫁は鬼になって男を追いかけた。逃げ場を失った男が蓬と菖蒲の中へ隠れると、鬼は身が溶けると言って手が出せず、とうとう退散したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
脇野沢村史 民俗編――伝説と世間話・キツネ伝承(脇野沢村(編)・脇野沢村史・自治体史(民俗))
『脇野沢村史 民俗編』第七章・口承文芸所収の伝説と世間話。青森県下北半島・脇野沢村の口承を採録する。脇野沢を七地域に分けて語る地名起源伝説、子供を脅す妖怪モコ・ジョジョ、海に現れる亡者船、そして数多く語られるキツネ伝承を中心とする。