熱いケイランに泣かされた婿
どんな伝承か
脇野沢に伝わる笑話「鶏卵の話」は、話型でいう咽突き団子にあたる。ある日、婿が嫁の実家に招かれた。実家ではケイランという餅をこしらえてもてなす。愚かな婿は出されたケイランに勢いよくかぶりついた。ケイランは汁こそ冷たいが、中の餅は煮立っている。口に含んだまま熱くてどうにもならず、吐き出すことも飲み込むこともできずに、婿は涙を流して苦しんだ。ケイランは脇野沢でビンソという収穫祭のとき娘たちが作って男たちに食べさせる餅で、あまりに熱いのでケイランの口焼きという言葉さえある。聞き手はそれを知らない愚かさを笑ったのである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
脇野沢村史 民俗編――伝説と世間話・キツネ伝承(脇野沢村(編)・脇野沢村史・自治体史(民俗))
『脇野沢村史 民俗編』第七章・口承文芸所収の伝説と世間話。青森県下北半島・脇野沢村の口承を採録する。脇野沢を七地域に分けて語る地名起源伝説、子供を脅す妖怪モコ・ジョジョ、海に現れる亡者船、そして数多く語られるキツネ伝承を中心とする。