トップ > 埼玉県の伝承 > 秩父市

三峰の山家を狙う冬の御犬族

所在地埼玉県秩父市三峰(三峰山)
年代伝承・近世
登場語り手、伝承者
出典民俗怪異篇

どんな伝承か

三峰の麓から本社までの山には茶屋や神官の家が点在し、どの家にも狼を祀る小さな祠があって、供えた米はいつの間にか消える。接待の男によれば、山の狼は御犬族と呼び、数は数え切れず、草が三寸伸びればその陰に身を隠せるという。秋が深まると夜ごと遠吠えが響き、冬に食べ物が乏しくなると御犬族が人家の近くを漁り歩く。出る夜は山の人には分かるので、戸締まりを固め、炉で大きな薪を燃やして火を見せておく。昔、火が弱まった夜に土台の下を掘られた家があり、主人が燃えさしで突くと外で悲鳴が上がり、穴を火で埋めて追い払った。翌朝、霜の上には大小重なった足跡が残っていたという。

原典より

夜が明けてから戸をあけると、雪のやうに下りた霜の上に、重り合つて足の跡があります。—— 民俗怪異篇(磯清・磯清・民俗怪異) より引用
地図で位置を見る

※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

民俗怪異篇(磯清・磯清・民俗怪異)

『民俗怪異篇』は、磯清が著した民間の怪異をめぐる随筆集である。馬を襲う魔物ギバとその禁厭、阿波の首切れ馬「夜行さん」、姫路城の刑部姫や猪苗代城の亀姫などの城の怪、化け猫、灯火による占い、秩父三峰の狼の信仰と狼の怪、怪談を題材とする落語を取りあげ、各地の言い伝えや古い記録を引きながら語る。序に続いて「馬の災と馬の怪」「城の主」「猫」「灯の占」「狼の噂」「落語に存在する怪談」の六篇を置き、それぞれを小見出しの短い話に分ける。

種別から探す

狼の噂御犬族遠吠え

秩父市の伝承

同じ種別の伝承

同じ文献『民俗怪異篇』の伝承