花摘みの小僧をのみこんだ嵯峨山下の淵
どんな伝承か
片山小学校の前にある古い寺、法台寺に、気立てのやさしい可愛い小僧がいた。ある年の四月八日、花まつりに供える草花を摘もうと黒目川の河原へ出た小僧は、夢中になるうちに、大蛇がいて子どもを川へ引き込むと村人が戒めていた嵯峨山の下まで来てしまった。川が山に突き当たって青黒い渦を巻く淵で、水面に姿が映ると妖しい気配に眠気を誘われ、小僧は淵へ吸い込まれるように消えた。川岸に残った草履から淵に引き込まれたと分かり、和尚は手厚く供養して、そこは小僧が淵と呼ばれるようになった。その後も子守の娘が預かった子を淵にのまれ、自分も身を投げるなど、不幸が続いたという。
原典より
小僧さんは、しらずしらず淵の中へ吸いこまれるように入ってしまいました。—— 新座市史 第4巻(民俗編)――伝説と昔話(新座市(編)・新座市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新座市史 第4巻(民俗編)――伝説と昔話(新座市(編)・新座市史)
『新座市史 第4巻(民俗編)――伝説と昔話』は、新座市が編んだ市史の民俗編のうち、第四章「伝説と昔話」にあたる部分である。野火止の地名と在原業平の東下りを結ぶ伝説を『伊勢物語』や『新編武蔵風土記稿』などの記録とあわせてたどり、妙音沢・かしらなし・小僧ヶ淵・強清水などの場所をめぐる話、観音や地蔵の霊験・縁起の話を取り上げる。節ごとに解説を置き、『こども広報にいざ』などに載った再話や古老からの聞き書きを引く。