夢告で琵琶の秘曲を授かった盲目の検校
どんな伝承か
片山の十二天村に住む鈴木氏の子は生まれつき目が見えなかったが、幼いころから琵琶に長じ、天和三年に検校の位に進んだ。念仏を篤く信じ、法台寺の観智国師を崇めて日々参詣し、弁財天にも二十余年祈り続けた。正徳二年六月十六日の夜、美しい女が夢に現れ、明朝、市場坂の下の沢で琵琶を伝えると告げた。検校が身を清めて沢の草むらに座り名号を唱えるうち眠りに落ちると、岩の上に弁財天が現れ、この世のものとも思えぬ秘曲をことごとく授けて消えた。目覚めると従者が桜の老木の枝に弁天の画像が掛かっていると知らせ、検校はそれを持ち帰って妙音講の本尊とし、没後は法台寺に納められた。この沢はそれから妙音沢と呼ばれるという。
原典より
その時、沢の上の岩の上に、まぶしいばかりの光がかがやき、弁財天さまのお姿があらわれました。—— 新座市史 第4巻(民俗編)――伝説と昔話(新座市(編)・新座市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新座市史 第4巻(民俗編)――伝説と昔話(新座市(編)・新座市史)
『新座市史 第4巻(民俗編)――伝説と昔話』は、新座市が編んだ市史の民俗編のうち、第四章「伝説と昔話」にあたる部分である。野火止の地名と在原業平の東下りを結ぶ伝説を『伊勢物語』や『新編武蔵風土記稿』などの記録とあわせてたどり、妙音沢・かしらなし・小僧ヶ淵・強清水などの場所をめぐる話、観音や地蔵の霊験・縁起の話を取り上げる。節ごとに解説を置き、『こども広報にいざ』などに載った再話や古老からの聞き書きを引く。