道をふさぐ衝立狸と封じの石碑
どんな伝承か
美馬郡の脇町から隣村の新町へ向かう途中に、高須という寂しい場所があり、そこには衝立狸と呼ばれる狸がいた。人が夜更けに通りかかると、道の真ん中に大きな衝立が立ちはだかって先へ進めなくなる。たいていの者は驚いて引き返したが、胆力のある者が下腹に力を入れて構わず歩けば、何ということもなく通り抜けられたという。人々はこの狸を恐れ、光明真言を四万八千遍唱え、その証しとして大きな石碑を立てて狸を封じた。それ以来、こうした怪異は起こらなくなったと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
暮しの中の妖怪たち(岩井宏実・岩井宏実・民俗学・昭和(現代民俗学))
民俗学者・岩井宏実による妖怪事典『暮しの中の妖怪たち』。日本各地の妖怪を暮しの空間(山・海・道・家・屋敷)ごとに、約六十項目にわたり具体例とともに解説する。