松の下に揃えられた草履
どんな伝承か
和歌山県日高郡美浜町の吉原に多七という人がいた。ある日、用足しの帰りが遅くなり、松林の中を歩いていると、大木の根方に草履がきちんとそろえて脱いである。拾って帰ろうかと思ったが、思い直してそのまま立ち去ろうとした。すると頭の上の木から「多七、いい了見やなあ」と声が降ってきた。その声の主は天狗であったという。天狗が人に語りかけて怖がらせる話は各地にあり、これもその一つである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
暮しの中の妖怪たち(岩井宏実・岩井宏実・民俗学・昭和(現代民俗学))
民俗学者・岩井宏実による妖怪事典『暮しの中の妖怪たち』。日本各地の妖怪を暮しの空間(山・海・道・家・屋敷)ごとに、約六十項目にわたり具体例とともに解説する。