極楽谷原の柳に座る三つ目入道
どんな伝承か
田町、いまの城北町に遊廓があったころ、川口で魚問屋を営む田中さんは、よく田町へ遊びに出かけていた。ある春の夜更け、上機嫌で田町の裏道を抜け、築地川の柳の土手づたいに月明かりの中を帰っていくと、鷲神社の前あたりの極楽谷原で、足もとの自分の影がふっと消えた。見上げても空に雲はない。喧嘩も度胸も人並み以上の男だったが、背筋が寒くなって柳の木を見ると、そのてっぺんに大きな三つ目入道がどっかと座り、長い舌を出して今にも息を吹きかけてきそうだった。肝をつぶした田中さんはわめきながら逃げ出し、方角を失って本町のほうを大回りし、やっとの思いで家に駆けこんだという。
原典より
ふと柳の木の方をみると、その天辺に何かがどっかりと座っているのが見えたので、よく見なおしてみると、それがなんと大きな三つ目入道で、大きな舌まで出して、「フー」と息まで吹っかけてきそうだ。—— 土浦市史 民俗編――伝説(土浦市(編)・土浦市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
土浦市史 民俗編――伝説(土浦市(編)・土浦市史)
『土浦市史 民俗編――伝説』は、市史の民俗編のうち第一節「土浦の伝説」と第二節「ことわざ」の冒頭を収める。首洗い井戸、狐の嫁入りや化かされ話、宍塚大池の大蛇、佐野子のカッパの手、弘法大師の石いもと照井、大聖寺の竜の爪、如宝寺の木食上人の入定など、市内の地名・寺社・池にまつわる伝説を、古老の話や市報・ふるさと運動の調査・資料館の調査・『東村誌』から引いて記す。各話に見出しを立て、ことわざは天候・動物などの題目ごとに番号を付けて掲げる。