稲荷の前でうろつく
どんな伝承か
取手市寺田の男が、まだ学校に通っていたころの話である。父と二人で稲荷様――今の東観団地内にある稲荷公園――の前を通りかかったとき、父が「おれはちょっと用があるから、おまえは先に帰っていろ」と言った。父は佃の方へ用足しに向かい、男は家へ帰るつもりで歩き出した。ところが本人はそのつもりでいながら、実はまだそのあたりに留まっていたらしい。用を済ませて戻ってきた父に「なんだ、まだここにいるのか」と言われ、そこで初めてはっとした。狐に化かされて、稲荷様のところをうろうろしていたのだと思ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
取手市史 民俗編2――将門伝説・怪異(取手市(編)・取手市史・自治体史(民俗))
『取手市史 民俗編2』第四〜六節所収の伝説・不思議な話・祟り。茨城県取手市に伝わる口承を採録する。