江蔵地の留の予告泥棒
どんな伝承か
江蔵地(現我孫子市)に昔、留という大泥棒が住んでいた。江蔵地の留は、泥棒に入ると心を決めると、前もって相手方に通告するのが常であった。あるとき、大房の若い衆が十数人、金を集めて手慰みをしているところへ、江蔵地の留から予告が入った。ところが丑三つ時になっても姿を現さない。なんだ、留の野郎、口ほどもない、と皆が笑いあったとき、土間のかたすみの暗闇から、おれは、ここにいるぞ、とのっそり姿を現し、皆が驚いているあいだに有り金を全部まきあげてしまった。ただ一人、機転のきく小左衛門の家の若者は、まわりの金をキンタマの下に隠し、この玉はやれねえ、と叫んで、とられずにすんだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
利根町史 第4巻(通史・民俗編)――民話と伝説(利根町(編)・利根町史・自治体史(民俗))
『利根町史 第4巻(通史・民俗編)』第一章所収の民話と伝説。茨城県利根町の文・布川・文間・東文間各地区に伝わる口承を採録する。