山の「ご前待場」は見通しのよい尾根で殿様が銃を構え
どんな伝承か
旧三田藩領には山中に「ご前待場」と呼ばれる場所があった。見通しのよい尾根などを選び、殿様が銃を構えて待ち、勢子役の村人が兎や鹿を追い出し追い込んで撃ち取らせる猟場である。畑に近い林には「ご前しがき」と呼ばれるキジ猟の待場もあり、銃口だけを出せる小さな覗き窓をつくった垣を設け、前方の畑に餌を撒いてキジを誘い出した。門野氏の父・斎治は、作物の被害状況や鳥の糞の硬軟から出現時刻を読み、その日どの垣に何時行くかを決めていたという。火縄銃は明治30年頃に元込銃へ替わった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
兵庫県民俗調査報告8――伝説(兵庫県(編)・兵庫県民俗調査報告・自治体史(民俗))
『兵庫県民俗調査報告8』第10章口頭伝承所収の伝説。兵庫県三田市周辺・千丈寺山麓に伝わる集落発祥・神社・廃寺・城跡の伝説と怪異を採録する。人を神として祀る南千丈寺山頂の松住大権現の磐座、焼き討ちされた千丈山観音廃寺、疫病神を追い払う戸守の鍾馗、法事帰りに重箱を襲う狐狸の怪、人の尿を好み小便たごを空にする狼話3題などを収める。各事例を日付・場所・人物・状況のマーカー付き事例単位で網羅した、摂津・三田の伝説と狐狼・鍾馗信仰の資料。