赤い軍服で出征した梅の木狸
どんな伝承か
愛媛県今治市の波止浜の梅の木狸は、日清と日露の両方の戦役に、一族を引き連れて出征したと語られる。日露の役では赤い軍服をまとった一隊となり、ロシア軍がいくら撃っても弾は当たらず、逆に赤い軍服の放った弾は百発百中だったという。その戦功によって梅の木檀十郎の名を賜った。ところが太平洋戦争には出征しなかったので、今度の戦にはあの梅の木さんが行っていないらしい、だから負けるかもしれない、という噂が立った。長橋之男が昭和十九、二十年ごろに聞いた話である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 軍隊(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 軍隊』を小話単位で全712話収録。徴兵・新兵・上官・戦地・戦争の残虐・敗戦・収容所・軍隊の怪談など、軍隊と戦争にまつわる兵士たちの現代民話を全国(一部は戦地・海外)から採集し話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明189話・市区町村判明76話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。