舶来自転車に乗れない友さん
どんな伝承か
大正の初め頃、轟に友さんというおんちゃんがいた。その人が舶来の自転車を買ったが、背が低いのに二十八インチの大きな自転車なので足が届かない。人が来るとすぐ降り、降りたら何か台を探して、その上に上ってひょいと乗るという調子であった。乗ると大きな声で「オーイ、ヨッチョッテ、ヨッチョッテ」と呼ばわった。あるとき友さんが自転車を押して走っていると、煙草屋のおばさんが「おまん今日は自転車にのらんがかよ」と尋ねた。友さんは「今日は急いじょるき、乗る気になれん」と答えたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和〜平成)
松谷みよ子『現代民話考 ― 偽汽車』を小話単位で全525話収録。汽車・船・自動車などの乗り物にまつわる現代の民話・怪談を全国から採集。狐狸が汽車に化ける偽汽車、船幽霊、タクシーに乗る幽霊などを地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明496話・市区町村判明359話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。