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鼻紙の化物の事

所在地山口県岩国市御庄鼻紙
年代江戸期
登場或何某、釣り人
出典岩邑怪談録

どんな伝承か

御庄の鼻紙という所に大きな川淵があった。この辺りは川魚が多いというので、ある何某が夕飯後から釣りに出かけた。道のりは一里余りで、暮れ六つ前に鼻紙の川端に着いて釣っていると、向こうの崖道を、持つ人もないのに提灯が横切って通った。不思議に思っていると、その後を袈裟を掛けた禅門が通り、同じように消え失せた。怪しみながらも心の剛い者で騒がず釣っていると、夜半のころ、しきりに糸を引く。喜んでたぐり寄せると殊の外重い。大きな魚かと引き上げれば、魚ではなく二つ子ばかりの裸の児が釣針に取り付き、膝元まで這い上がって来た。捕えようとすると、たちまち消え失せたという。

原典より

御庄の鼻紙といふ所に大川淵ありけり。—— 岩邑怪談録(広瀬喜尚(編:藤田葆/増補:今田純一/付録:静間密)・天保年間成立・明治期増補(原本明治四十三年成稿)/昭和51年(1976)岩国徴古館刊) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

岩邑怪談録(広瀬喜尚(編:藤田葆/増補:今田純一/付録:静間密)・天保年間成立・明治期増補(原本明治四十三年成稿)/昭和51年(1976)岩国徴古館刊)

岩国藩士・広瀬喜尚(仁兵衛、天保頃の博識家)がまとめた郷土怪談集を核に、明治期に今田純一(散木園主人)が二十余条を増補(追加)し、さらに藤田葆が古老聞き取りの『続怪談録』・歴史的瑞兆を集めた『実事談』・幼童の変死記録を集めた『変死部』を継ぎ、巻末に静間密の怪火・投石怪五話を付録とした、岩国・錦見・横山周辺を舞台とする総合怪異録。

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