三人の出征に植えた三本の松
どんな伝承か
千葉県市原市の話。語り手の祖母には四人の息子がおり、そのうち三人が出征した。三人が発つ前、庭には松が三本植えられ、揃って無事に帰るようにと祈られたという。敗戦の後、最初に戻ってきたのは長男で、中国やインドシナの激戦を経ての帰国だった。伯父は家のまわりを何度も回るばかりでなかなか玄関に入れず、ようやく意を決して戸を開けると、出てきた祖母が「ツトム!あー」と言ったきり絶句した。伯父は片足を引きずる身になっていたのである。長男と次男は帰ったが、三男は中国で戦死した。庭の松も一本は植えて間もなく枯れ、いまは二本しか残っていない。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考・昭和〜平成)