私の幼ない頃、山根(上野村名加山)に電報局ができたん
どんな伝承か
語り手の幼いころ、山根(上野村名加山)に電報局ができた。島の人々は便利なものができたとうわさし、毎日大勢が珍しさに訪れたという。ところがどこで違えたのか、何でも簡単に送ってくれるという評判になった。ある男のもとへ、息子から靴を買う金を送れという電報が届いた。男は金を送れば何に使うか分からぬと考え、靴を買い求めて電報局のある山根へ向かった。太い電線が海へ入り込んでいるのを見て、これだと合点し、新しい靴をそのまま電線に吊るした。これで息子に届くはずだと見つめていたが動く気配はなく、そのうち届くだろうと真顔で帰っていったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考・1990年代初期(平成初期))
松谷みよ子『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』を小話単位で全550話収録。心霊写真など写真の怪と、文明開化期の怪異にまつわる現代の民話を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明496話・市区町村判明377話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。