幸作という人がおって、弘化四年生まれで(大正四年に六
どんな伝承か
弘化四年(1847)生まれの幸作は、生まれてすぐ母を亡くし父の手で育てられた体の弱い少年だった。十六歳の正月、山へ焚物採りに出た折、中設楽の花祭りを見物して気に入り、山中でその舞の真似をしていると、あたりが急に薄暗くなり、顔の赤い鼻の高い者と青い顔の鼻の尖った者が現れた。「花ぁ舞いえるか」と誘われた幸作は恐れず応じ、綱で作られた道を歩いて明神山の頂へ導かれ、そこで一緒に花祭りの舞を舞い、餅をふるまわれた。続けて御殿山や平山明神でも舞ったという。この話は孫の伊藤春太郎が語り伝えた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考・1970年代)
松谷みよ子『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』を小話単位で全532話収録。河童・天狗・神かくしにまつわる現代の民話・怪異譚を全国から採集し、地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明530話・市区町村判明477話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。