諸田の原から断崖へ運ばれた娘
どんな伝承か
鹿児島県大島郡の徳之島での話である。明治二十五年ごろ、回答者の祖母が十四、五歳のとき、諸田の原で草を刈っていて道に迷った。やがて体がふわりと宙に浮くような心地がして、耳には波の音が届いた。日が暮れても戻らないので家の者や村人が大騒ぎになり、総出で捜しに出る。祖母は人の入ったことのない断崖の上に、ぽつんと座っていた。人々はようやく助け出したが、着物には砂などがびっしり付いていた。これはボージガミ、すなわち河童に祟られて魚取りに連れて行かれたのだと口々に言い合い、祖母は父からさんざん叱られたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考・1970年代)
松谷みよ子『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』を小話単位で全532話収録。河童・天狗・神かくしにまつわる現代の民話・怪異譚を全国から採集し、地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明530話・市区町村判明477話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。