佐渡海府の瀧と鳥の極楽
どんな伝承か
佐渡の島の西岸を南へ進んで来ると、少しずつ水際に平地が出来て、五戸三戸の近世の移住者が絶壁を背にして家を構えている。海の生産は一年の活計に足らぬので、いずれも崖路を登って高地の田を作る。佐渡での特色は屏風のような山の端に喬木が深く茂っていることで、山の田に灌漑した水の末が濁った滝となってこの間から海に落ち、無数の鳥類が傍に憩い遊んでいる。波濤の音に競って声は高く、全く人間の危害から遠ざかっているので動作が至って自在である。北の大陸から毎年渡って来る者がこの島を中宿とするのは蒼古以来の習わしであろう。こうした地形を鳥の極楽と名づけている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第2巻』を全331話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。