正夢を信じた猟師の大しくじり
どんな伝承か
ある村の猟師が、矢作牧の原にある多良貝の池へ出かけると、鴨が群れていた。一発撃つと三羽が落ち、拾いに入るとモンペにドジョウが三匹、岸でつかんだ木の根は野兎の脚で、もがいた兎がヤマイモを三本掘り出すという大当たり。喜んでいると女房の呼ぶ声がし、昼寝の夢だったと気づいた。正夢かもしれないと鉄砲を手に池へ行くと、確かに鴨はいたが、当たったのは一羽だけで、それも羽を傷めただけで泳ぎ去った。岸で兎の脚と思ってつかんだのはイタチで、最後屁を浴びて池に顔から落ち、鼻に潜り込んだドジョウもくしゃみで逃がしてしまったという。
原典より
現実に戻った猟師であったが、「まてよ、ひょっとすると今のは正夢かも知れねえ」と、鉄砲を持って多良貝の池に向かったのである。—— 大栄町史 民俗編(大栄町) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大栄町史 民俗編(大栄町)
『大栄町史 民俗編』は大栄町の町史の民俗編で、ここに収められているのは第六章「ことばと生活」第一節「伝説」の部分だけである。北総台地にある町内の地区ごとに、源頼朝の鞍掛けの松、城主大須賀氏・伊能氏の話、弁天様と道祖神、狐・狸・河童・大蛇の話、作男や長者の話、古墳の埋蔵金の話などを伝える。伝説は歴史・神仏・動物・人物に関する伝説と「トーカとムジナの話」の五項に分けられ、末項では狐に化かされた体験とムジナの火の話を「〇」の箇条で並べる。