柄杓を求める女の声の船幽霊
どんな伝承か
九十九里町のどの地区にも共通して伝わる話。船幽霊とは、沖で漁をして帰りが暗くなったときや、浜辺の番屋に出る幽霊のことで、その正体ははっきりしない。船幽霊は決まって女の声で、柄杓を貸してほしいと呼びかけてくる。聞こえないふりをしていても、同じ言葉を何度も繰り返す。そういうときは底を抜いた柄杓を投げてやるものだとされた。底を抜かずに渡すと、幽霊はその柄杓で海の水を汲み入れ、船を水浸しの『水船』にして沈めてしまうからだと言い伝えられている。
原典より
その正体は、よくわかりませんが、船幽霊は、きっと「柄杓かしてくったい(ください)」と、女の声でよびかけます。—— 九十九里町誌 各論編 下巻(九十九里町誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
九十九里町誌 各論編 下巻(九十九里町誌)
『九十九里町誌 各論編 下巻』は、千葉県九十九里町の町誌各論編下巻から、第八章「口頭伝承」の第一節「昔話」を収めたものである。作田・片貝・真亀・藤下・西野・粟生など町内の地区に伝わるきつね・むじな・カッパ・大蛇の話や、屋号の由来、天王様ときゅうりの禁忌、将軍の鷹場にまつわる話を、です・ます調の語りで記す。見出しに地区名を添えて話を並べ、後半には神かくし・いそぎつね・船幽霊など町内に共通する話をまとめる。