ハナウミーダー
どんな伝承か
喜界町花良治にハナウミーダーと呼ぶ田がある。河野の祖先が夕方に田を見廻って畔に立っていると、イサンニョウから尾を引いた火の玉が近くの森へ飛んで来て、森の中から「今夜海へ行こう」「わたしは目が痛むので行けない」という話し声が聞こえた。翌日その森へ行ってみると、蔓草に巻かれた人の死骸が横たわり、目のところに蔓の根が差し込んでいた。彼が頭蓋骨のまわりの蔓草を刈り取ってきれいにしてやると、以後、田に出るたび「目よう、目よう」という声がした。その秋、上納米の下調べに来た役人は、彼の田だけが青いままなので収穫の見込みなしとして引き揚げた。のち森から「ハナウミ ハナウミ」と声がしたので家族と刈り取ったところ、稲穂は例年より豊かに実っていた。以来この田をハナウミーダーと呼ぶという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第15巻』所収の「文化叙事伝説」「自然説明伝説」全185話(奄美・沖縄=南西諸島)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。