無蔵水
どんな伝承か
昔、田名のドゾ屋の家に新垣マジルという娘がいた。恋人の漁師は舟で魚を釣りに出たが、暴風に流されて伊良部に流された。器量がよかったので方々から嫁にほしいと申し込まれたが、女はあの人がいつか帰るはずだと断り続け、親に、男は海のもずくになったから早く結婚しろと叱られた。それで灯台から廻って行く無蔵水の岩に登り、芭蕉を紡いで一人で暮らし、恋人が帰ったら着せるつもりで芭蕉着物の布を織って待った。しかし男はとうとう来ず、岩の窪みには女の泣いた涙が溜まったという。今も無蔵水に溜まる水はその涙だといい、これを詠んだ歌と女の返し歌が伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第15巻』所収の「文化叙事伝説」「自然説明伝説」全185話(奄美・沖縄=南西諸島)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。