石に乗って来た老人とイビガナシ
どんな伝承か
六月の暑い日、浜で涼んでいた二人が、海の彼方から石に乗って人形のようなものが近づくのを見た。一方は不審がって石を投げつけ、もう一方は神に違いないと家へ走って食べ物を運んだ。ぼろをまとった老人は、鍋で煮たものは食べぬ、シトギを持って来いと告げ、供えられたシトギはきれいに平らげた。そのとき、石を投げた者の家は子の生まれぬ石腹に、シトギを供えた者の家はシラミのごとく末長く栄えると言われたという。老人は今イビガナシのある場所の穴に住み、やがて忽然と姿を消した。以後、その穴をウキボージガナシ、乗ってきた石をイビガナシとして祀り、行方知れずになることをイビになるというようになった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第15巻』所収の「文化叙事伝説」「自然説明伝説」全185話(奄美・沖縄=南西諸島)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。