大蛸を討った豊見氏親の最期
どんな伝承か
普佐盛豊見親と同じころ、伊良部島の主長に豊見氏親という人がいた。当時、伊良部と平良の間の海には大蛸が現れて往来の船を覆し、たびたび人の命を奪っていた。氏親は人々の憂いを断とうと、先祖伝来の小刀を帯び、たった一人小舟で海へ出る。やがて大波を立てて大蛸が現れ、切りかかった氏親は舟ごと呑み込まれてしまった。氏親は腹の中を小刀で切り裂いて外へ出たが、あたりは血の海となり、大蛸は死骸となって横たわっていた。力尽きた氏親はその日の夕方、舟とともに比屋地浜へ漂着し、島人が介抱したがまもなく息を引き取る。人々は遺体を比屋地山に葬り、御嶽を建てて神として祈ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第15巻』所収の「文化叙事伝説」「自然説明伝説」全185話(奄美・沖縄=南西諸島)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。