古狸を噛み伏せた白犬と犬薬師様
どんな伝承か
伊倉の神は気が荒く、秋の祭礼に人身御供を供えなければ五穀を実らせないとされ、毎年若い娘が犠牲になっていた。ある年、通りかかった六部が祭礼の夜に神殿の下へ潜み、妖怪が肥前の某には知らせるなと三度つぶやくのを聞く。六部は肥前へ渡り、庄屋の飼う白犬を捜し当てた。翌年の祭礼にその犬を連れて来ると、白犬は激しい戦いの末に妖怪を噛み伏せた。正体は古狸であった。白犬も深手を負って死んだので、これを祀ったのが犬薬師様で、例祭は十月一日である。十月十四日に伊倉八幡宮で行われるねり嫁の行事も、この話を伝えるものだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第14巻』所収の「文化叙事伝説」「自然説明伝説」全75話(熊本・宮崎・鹿児島=南九州)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。