白矢が立つ村の人身御供と狒狒
どんな伝承か
水沢在のある村の話。屋根に白い矢が立つと、その家は娘を人身御供として山の祠へ差し出す決まりで、年に二、三度はそれがあった。天明の年、長者の屋敷の上に白矢が立つ。三日のうちに娘を出さねばならず、夫婦は泣き崩れた。手代が身代わりを探しに出るが引き受ける者はない。帰り道の大雨に軒を借りた家で、病の母を抱えた娘が薬代と引き換えに承知した。娘は白木の長持に入れられ祠へ運ばれる。山風が鳴り、狒狒が蓋を開けて呑もうとしたとき、娘が日ごろ念じる仏の名を唱えると、狒狒の皮が剝がれて美しい若者になった。神隠しに遭った者だと長者は言い、娘はその嫁になったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東北怪談の旅(山田野理夫・昭和49年(1974年)頃)
東北怪談の旅(山田野理夫)/飢饉の非業の死と怨念/巫女(イタコ)の口寄せ/座敷童子・河童の怪/東北各地の幽霊伝承