栗冠の鰍
どんな伝承か
昔、弘法大師が笛吹川の上流の川浦に、空腹をかかえて辿りついた。ちょうどある家の老婆が栗粥を炊いていたので、大師は粥を施してほしいと乞うたが、老婆は惜しんで、この粥にはヤマメが入っていて生ぐさいので差し上げられないと断った。大師は、魚は川へ放してやるから構わないと重ねて求めたが、老婆は、鍋で煮た魚が川へ放って生きるはずはないと嘲った。大師が必ず生き返るといって、粥に入れて煮たヤマメを川へ投げ入れると、魚はみな生き返り、栗粥を身につけたまま泳ぎ去った。これより笛吹川のヤマメには紅の粟粒がついているという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第5巻』所収の「文化叙事伝説」全104話(千葉・山梨・神奈川・埼玉・東京=関東甲信)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。