阿伏兎観音
どんな伝承か
嫁は孫を産んだものの、産後の肥立ちが悪くてすぐ死んでしまった。このままでは孫に乳を与えることができない。叶うものなら、この婆の乳が出るようにしてもらえまいか。婆は不可能と知りながら観音に願い続けた。そしてある日、婆の乳房から乳が出たのである。この話がいつごろ生まれ、どのようにして今日まで伝わってきたのかは分からない。それからというもの、母乳が出ますように、子供が無事に生まれますようにと腹帯を供える若い女性、年寄りは若い者に世話をかけまいと肌着を奉納する老女など、観音を訪れる信者は後を絶たないという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第10巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全85話(岡山・広島・山口=中国地方)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。