田中淵の猿猴が交わした証文
どんな伝承か
三日市の田中家では、川べりのしだ原に馬を放していた。そばの田中淵にいた猿猴が馬を水へ引き込もうとして綱を体に巻きつけ、力任せに引くうちに頭の皿の水をこぼし、力を失ってしまう。逆に馬に引きずられ、田中家の黒門まで連れてこられた。水をくみに通りかかった下女に水を恵んでくれと頼んだが、話を聞いた主人は水を与えるなと止め、一通の証文を突きつけて、この先何万年たっても人馬を襲うなと戒め、守るなら命は助けると告げた。猿猴が詫びたので三日三晩門につないだうえ、もとの淵へ返してやった。それ以来、悪さはしなくなったと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第10巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全85話(岡山・広島・山口=中国地方)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。