嫁田
どんな伝承か
昔、庄内に代々宇右衛門という家名の家があった。時は享保の頃という。田植え時のある日の午後、宇右衛門は息子に命じて、広い田の植え付けを嫁にさせた。嫁は懸命に植えたが日暮れまでに終わりそうになく、田の中に立って「お日様、山の端に入るのをしばらくお待ちください」と一心に念じた。やっと植え終わって腰を伸ばすと、太陽はいままさに山の端に入ろうとしていた。嫁は喜び、傍らの小川で足を洗って帰ろうとしたとたん、ばったりとその場に倒れた。迎えに来た息子が抱き起こしたときには、すでに息はなかった。村人は父親の無理を怒るとともに嫁の死をいたみ、誰いうとなくこの田を嫁田と呼ぶようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第7巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全97話(愛知・岐阜・長野・静岡=中部)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。