三日三晩の震動と砕けた鳴石
どんな伝承か
稿本『三ふく由来下書』が記す。この丘の山の麓に兵主大明神がある。上古のことは分からないが、中古の享保の棟札が残り、享保から寛政元年まで六十三年になるという。その享保に兵主大明神を建てたのだと伝える。由来はこうである。昔、三福村の内が三日三晩にわたって震動し、人々は誰も外へ出られなかった。三晩目に雷が落ちたような音がして、ようやく静まった。村の老いも若きも山中を見に行くと、二間余りの石が砕けていた。そこでこの場所に兵主大明神を祀ったという。社前には一抱えの大石があり、この石が鳴って砕けたので、世に鳴石大明神と申し上げるのだそうである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。