伊豆宗光寺・惣兵衛の娘はつ
どんな伝承か
伊豆の今の田方郡田中村大字宗光寺の百姓惣兵衛の娘はつは十七歳、今から二百十余年前の宝永頃に突然家出をして行方不明になった。はつの母親が没して三十三回忌の日、還って来て家の前に立っていた。近所の者が見付けて声を掛けると、答えもせずに走り出し、またどこかへ行ってしまった。その後も天城山へ薪を樵り、また宮木を曳きなどに入った者が折々この女を見かけることがあった。いつも十七八の顔形で、身には木の葉などを綴り合わせた珍しい衣服を縫うていた。言葉をかけても答えず、直ちに逃げ去るのが常であったと『槃遊余録』第三編に見えている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第4巻』を全822話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。