猫檀家
どんな伝承か
昔、駿東郡の杉田に安養寺という寺があり、和尚が猫を可愛がっていた。その猫はいつしか寺を出て姿を消したが、十年ばかりたったある日、十歳ほどの小僧が訪ねてきて、長く可愛がってもらった猫だと名乗り、恩送りをしたいと告げた。西国の大名が江戸で死に、その死体が明後日箱根山を通る。自分は火車になって死体を空高く引き上げ、誰が来て祈っても下ろさず、しまいに「杉田の安養寺」と呼ぶから、来て熱心に経を読み水晶の数珠で招いてほしい、と言ってどこへともなく消えた。それから三日目、果たしてそのとおりのことがあったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第7巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全97話(愛知・岐阜・長野・静岡=中部)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。