大平山から大江山への鬼賊の遍歴
どんな伝承か
酒顚童子は茨木童子とともに古志郡の大平山を住みかとして近辺を荒らした。力は互角だが奇術に長けた酒顚を茨木が主と仰ぎ、国土を押領しようと企てる。茨木の生地をはばかって部下十八人を連れ黒姫山へ移り、さらに頸城郡の賀風ヶ岳へ居を転じ、山寺三千坊や上路の山を横行して無頼の徒を集めた。鬼賊と呼ばれて人々が恐れたので討手が向けられ、信濃の戸隠山に籠もるも神威に追われ、丹後の大江山の岩窟へ移る。丹波の赤見ヶ岳には砦を築いて茨木を置いた。京まで荒らしたため一条天皇の勅命により源頼光と四人の家臣、丹波国司平井保昌が兵を合わせ、正暦元年正月廿五日に討ち取ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第3巻』は、山形・福島・新潟の三県に伝わる伝説を集めた叢書『日本伝説大系』の一巻である。湖水の干拓、鮭の大助、八百比丘尼、弥三郎婆、安達ヶ原の鬼婆、産女、雪女房、河童などの話のほか、松・杉・石・池・清水・温泉・長者にまつわる伝説を、口承資料を主に採っている。全体は「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」に分かれ、各項目は例話と伝承地を掲げ、〔類話〕〔文献〕〔参考〕で近世以後の史料や県外の類例を補う。