住職が各戸を巡るオトリコシ
どんな伝承か
機織川の上流に小さな集落が散らばる南陽市矢ノ沢は、一向宗の土地である。ここにはオトリコシという行事があり、戦前は年の暮れに宮内の正徳寺から住職が来て、家々を回っては説教をした。住職の到着を檀家は拍子木を打って触れ回り、泊まる家は集落で相談して決めた。近くの荻では昭和七、八年ごろまでお講寄りが続き、秋の取り入れを終えると同じ寺の住職を招いて説教を聞き、共同の膳椀で会食もした。昭和九年の凶作を境にこれはやめ、膳椀は競売に付されたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
置賜の庶民生活2(民間信仰)――俗信・ワカ・死霊(置賜民俗学会ほか・置賜の庶民生活・民俗調査)
『置賜の庶民生活2(民間信仰)』所収の禁忌・卜占・予兆・生活の中の神々・死霊。山形県置賜地方に伝わる民間信仰を採録する。